iza(2021.4.27)
https://www.iza.ne.jp/smp/kiji/life/news/210427/lif21042719570037-s1.html
【住宅クライシス】 大阪市城東区の住宅密集地で、築30年超の5階建て賃貸マンション2棟が「ハの字」形に傾いて接触し、うち1棟では8年前に専門機関が倒壊などの危険を指摘したにもかかわらず、放置されていることが27日、産経新聞の調べで分かった。傾斜の原因は不明で、安全確認もされていないが、現在も数十世帯が入居している。産経新聞の指摘を受けた大阪市では建築基準法に基づき、建物調査を進めている。(岡嶋大城、森西勇太、土屋宏剛)
倒壊の危険性
2棟はおおさか東線JR野江駅の南西約100メートルに所在し、昭和61年に相次いで完成した。ともに鉄骨造で南北に連なり、10~20平方メートル程度の居室が50~60室ずつある。それぞれの所有者は異なるが、仲介サイトによると月額2万~4万円程度で賃貸されている。
産経新聞は、平成25年3月に建築調査の専門機関が作成した2棟の傾斜に関する報告書を入手した。それによると、南側の建物の屋上では北方向に1メートル当たり最大で15・6ミリ、北側の建物の屋上では南方向に同じく最大で9・3ミリの傾斜が確認された。2棟の上層階同士が「ハの字」形に傾いて一部が接触している。
いずれの傾斜も、横幅1メートルの水平面に対する勾配の高さが垂直方向で6ミリを超えており、これらを住宅品質確保法上の「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」に当てはめると、主要な構造部分に欠陥が存在する可能性が高いとされる。
報告書では、現地では建物がふぞろいに沈み込む不同沈下が発生している可能性が非常に高いとも指摘。実際に不同沈下が起きていた場合、南側は地震などで被災した建物を3段階で診断する「応急危険度判定」で最低の「Cランク」に該当するとした。
日本建築防災協会などによると、Cランクと判定された建物には倒壊などの危険性があり、立ち入りに注意が呼びかけられる。
取材に対し、南側の所有者は「傾きは間違いない。実態を明らかにしたい」。北側の所有者は「答えることはない」としている。
傾斜が大きい南側の建物には数十世帯が入居中。産経新聞では入居者や地域の安全などを考慮し、取材が初期段階だった4月9日以降、大阪市建築指導部に対し、建物の現状に関する情報を可能な限り提供している。
建物問題に詳しい1級建築士の福島敏夫弁護士は、このマンションで居住を続けるリスクについて「倒壊だけでなく、平衡感覚に支障をきたすなど住民が健康被害を訴えてもおかしくないレベルだ」と指摘。市は建築基準法に基づいて調査を進めており、担当者は「現地調査の上で必要に応じ、(所有者に)改善を求める」としている。
【驚愕】「ハの字」型に傾斜、マンション2棟が接触 8年放置で大阪市調査
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